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軍資金として貯めたバイト代はしめて三万。できればもっと用意したかったが、こればかりは仕方ない。こっちにだって生活がある。ぎりぎり普通の生活できる範囲の最大級。
あとは戦いが始まるのを待つだけ。
それまでに可能な限り準備を整えておこう。
■開始時間まであと十五分。
この戦いに於いて、プレイヤーのレベルや実力は全く関係しない。全て運で勝敗が決まる。どれだけ強くてもどれだけ軍資金を揃えても負ける事はあるし、どれだけ弱くても軍資金なしでもうっかり勝ってしまう事だってある。
だからこそ、己との戦いでもあるのだ。いかに己の理性をフル稼働させて手持ちの軍資金を極力最低限に抑えるかだ。投了も一つの手段。たとえうっかり勝つ事があり得るとはいえ、それはあくまでうっかりの話。本来なら勝つ事すら難しいこの戦いでは、己の負けを認める強さも自然と求められていく。
いや、軍資金を手当たり次第に使えばいずれは勝てるだろう。勝てるまでベットして勝てるまで戦う。そうやって勝ってきた奴らをたくさん見てきた。彼らの金で得た勝利宣言に何度も悔しさで悶えてきた。悔しい。悔しい。悔しい!
だけど!だけどそれがどうした!それだけの軍資金を集められた手腕には単純に感服する。尊敬する。だけど私にはそれだけの軍資金を貯める力はない。よそはよそ。うちはうち。ならば!
私は私にできる最大級の力を以て、この戦いに挑もう。
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