14人が本棚に入れています
本棚に追加
2/29 最高の夏だった
お題【かき氷】【永遠】【ゲーム】
夏の暑い日には、かき氷、エアコン。それにゲームがあれば上出来だ。昔の田舎の子供なら、虫捕り網に虫かご、水筒をもって楽しく外で遊びまわっていたのかもしれないが、今の世に生きる現代っ子にそれを求めるのは酷というものだろう。だって、今は昔と違っていろいろ厳しいのだ。誰のとも知れない山の誰のとも知れない木に、虫でも捕ろうと思って蜜を塗ったら最後。勝手に何をしているんだ! なんていう風に怒られて終わりだ。全く、世知辛いものである。俺が齢一桁にしてこんなことを考えているのも、前述したとおりのことをやらかしてしこたま怒られた馬鹿な幼馴染がいるから......ま、そんなところが可愛いやつなのだが。
「晶~~~~~~~~~~~!」
「はいはい、将馬。どうせまた怒られたんだろ」
「だぁって、隣の家のじじいがさ!」
「うんうん」
「だって! 木に止まってたんだぜ!?」
「カブトムシが?」
「そうだよ! したら捕るじゃん!?」
「俺は捕らないけど将馬はそうかもね」
「捕ろうと思って家ン中入ったら、コラ! だぜ?」
「まぁ勝手に人の家に入るのは不法侵入だからなぁ」
「フホウシンニュウ? とかはよくわかんねーけど、マジであのじじいあり得ねぇ」
どたどたどた!と大きな足音を立てながら駆け込んできたのが、俺の幼馴染である将馬だ。畳に座り込んでゲームをしている俺のところにかけよってきて、スライディングで俺の腰にダイレクトアタックを仕掛けるまでが一連の流れだ。ここ、テストに出ます。......なんつって。
「まぁまぁ、ンなかっかしてないで。今日のおやつ、かき氷だって」
「マジで!? 何かけようかな~~?」
こんなことで簡単に機嫌が直ってしまうのだから単純でおめでたいやつだ、将馬は。こんなこと考えている俺よりよっぽど年相応で可愛らしい。
「んで、かき氷作ったらゲームしようぜ」
「今日も持ってきてくれたのか!?」
「もちろん。たくさん遊ぼうな」
「やった! .......へへ、それにしても、本当に晶はすげぇなぁ。俺なんかとは違って頭もいいし」
さっきもよくわかんないけど難しい言葉使ってたし、勉強沢山してるからゲームも買ってもらえてるんだろ? 将馬が照れたように頭を掻きながら言った。頭がいいも何も、俺が勉強をする理由は、将馬のため以外にありやしないのに。
最初のコメントを投稿しよう!