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まだ語彙の少ない幼稚園児、その時感じたことを言葉で表すことはできなかった。
でもみんな思ったはず。
なにこのお見合いパーティーみたいなシステムは?!的なことを。
幼稚園児とはいえ女子は女子。
誰からも選ばれなかったらどうしよう・・・という不安感から
みんなどよめいた、と思う。
少なくとも私はホントに心配した。
誰からも選ばれなくて、最後まで残っちゃって、美優とグループにならされた男の子に嫌な顔されたらどうしようって。
考えただけで悲しくなって、
私は多分しょんぼりした様子で立っていたに違いない。
男子の方は、先生にせっつかれて、女の子達が並んでいる場所までやってきていた。
周りを見る余裕もない美優だっけけど、何人かが早速ペアになって、次は4人のグループになる相手を探し始めたようだ。
・・・・・
何も考えられず、突っ立っている美優の視界に一人の男の子がはいってきた。
今では顔も名前も思い出せないその男の子はいかにもしかたなく…といった様子で美優の手を取ろうと、自分の手を伸ばしてきた。
その男の子の表情を見て、
(ああ、やっぱり美優は嫌々選ばれるんだ)
と悲しい思いになりながら、それなら選んでくれなくていいのにと思いながら、でもどうすることもできなくて、その男の子に手をとられそうになった瞬間。
パシッ
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