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ミラはおろおろしながらも彼のものへと目を向けた。下肢からつき出た肉柱は萎えたようには見えなくて、前より確実に天を突いている。
──ますます元気な気がするし、なんか変な液まで出てるし。
しかし、本人がそう言うからにはきっと萎えそうなのだろう。命じられたままにおずおずと彼にはめられた枷を解く。なぜだか飢えた猛獣を檻から解き放つ気分だ。
彼は体が自由になると、跡が残った手首をなでた。にやりとミラへ笑いを向けてはだけた服に手をかける。汗にまみれた式服を邪魔くさそうに脱ぎ捨てた。
「えっ──」
初めて目にした異性の裸に、ミラはごくんと息をのんだ。
服の上からは細身に見えたが、思った以上に広い肩やひきしまった腕がたくましい。あぐらをかいた股間には大きなものがそそり立っていた。
さほど身近に異性がいない環境で育って来たために、ミラは生身の男性にひどくカルチャーショックを感じた。サキュバスのくせに箱入りなのだ。
彼は改めて顔を上げ、寝台の前に立つミラを見た。笑顔の中に黒さを感じ、手招きされて逆にのけぞる。
彼は苦笑いして告げた。
「これは秘術を行使するために必要なことなんでしょう? さあ、早くここに座って」
なだめすかすような口ぶりに、ミラはとうとううなずいた。ついに攻守交代だ。
ためらいつつも寝台に上がり、全裸の彼の前にすわる。整った顔がそばにより、ミラは一気に赤面した。
「あなたの名前を教えてください」
柔らかくなった彼の声音に視線をそらしつつ答える。
「ミ……ミラです」
「ミラ。可愛い名前ですね」
神官が口元をほころばせた。今までの怜悧な印象が弱まり、屈託のない笑顔になる。その楽しげな表情に、怖かった彼の印象がほんの少しだけやわらいだ。
「ミラ、あなたも全部脱いで。でないと続きができませんよ?」
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