2.交代

4/4
前へ
/88ページ
次へ
「あ……はい」  ミラはうなずき、下着に手をかけた。目の前で裸になるミラに彼がごくりと喉を鳴らす。熱のある視線が肌へからんで、視界に映る彼のものがさらに凶悪な様相に変わった。  神官は艶めいた声で続けた。 「もう一度、おさらいします。ここであなたが私と交わり、絶頂を迎えることができれば、私から奪いとった力を髪に変換できるんですね」  ミラは顔をそむけながら答えた。 「そうです。それは『魔女の糸』というれっきとした魔道の道具です。本には媚薬や回春の薬になると書かれています。それに私から切り取った髪なら簡単に浄化できるはずです。──本当は私に力があれば、口の中で受け止めるだけでも変えることができるのですが。まだまだ修行がたりなくて……」 「男のものを口中で受け止めるだけで絶頂すると。……さすがサキュバス、ド変態ですね」  聖なるはずの神官にすけずけ下品なことを言われ、ミラは首筋まで熱くなった。しかしなぜか神官は甘いまなざしをよこして続けた。 「いいでしょう。こうなったらどうあってもあなたに絶頂を迎えてもらわなくては。私も一緒に頑張ります」  神官がさらににじりよって来た。その勢いに気圧されて、のけぞったままの姿勢で耐える。 「昨日、どうやって練習したんです?」  笑みをふくんだ声で聞かれて、ミラは小さくうつむいた。 「ですから、本で書かれていたように……」 「なんて書かれてたんですか」 「え……えーと。指で、その……」 「せっかくですから、私の前でそれを実践してください」  ミラは思わず絶句した。一体何が「せっかく」なのか。ふと気がつくと彼のペースで内容のハードルがガンガン上がる。  脇のテーブルに開かれたままの書物へざっと視線を送り、神官は飄々と言葉を継いだ。 「なるほど、古代文字ですか。これはなかなか興味深い……ほら、寝台に寝てください。ここに書いてありますよ、『まずは大きく足を開く』と」  言われたことに赤面すると、彼は優しげな笑みをたたえた。まるで出来の悪い生徒を諭す教師のような表情だが、優しい笑顔がむしろ怖い。 「大丈夫です。見せてください。ほら、早く」 ──だから、何が「大丈夫」なの!?  ミラは混乱しながらも寝台の上に横たわった。とにかく先へと進まなければ報酬分の仕事はできない。 ──これは仕事。これは仕事!  膝を立てていた足をゆっくり左右に開いていく。  どこかかすれた声が続けた。 「もっとです。それではまだよくわかりません」  ミラは真っ赤になりながら、覚悟を決めてさらに開いた。  すぐ目の前でさらされた震える処女の最奥に、神官がはっと息をつく。秘所を凝視する彼の視線が今にもふれて来るようで、ミラは羞恥に唇を噛んだ。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

375人が本棚に入れています
本棚に追加