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07. 終幕
やっとのことで縄をほどいた。
私は床に腰を下ろし、キッチンの棚に背中を預けた。
全身が痛む。
私はビリィの名前を呼んだ。
しばらくすると鈴の音がして、私の膝の上に愛猫がやってきた。
それにしても。
連中はどうして突然引き上げたのか?
私はスマートフォンを起動し、検索フォームに「フリスク」と入力した。
【速報】フリスクの医療効果は、真っ赤なウソ!!
検索結果の一番上に表示されたのがそれだった。
私はポケットから《2012年物》を取り出し、何粒か口に入れた。
一粒、一億円の味である。
ビリィが私のそばにやってきた。
「おまえも一粒どうだ?」
私はフリスクを親指の爪の上に乗せ、ピンとはじいた。
ビリィはフリスクを追いかけていき、器用にジャンプして、空中で口の中に入れた。
着地したビリィは、《2012年物》のフリスクを、ペッと床に吐き出した。
ビリィは顔をしかめ、恨めしそうに私をにらんだ。
どうやら、猫の口には合わなかったらしい。
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