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それは突然の別れだった。
普段、風邪もひいたことのない怜子が、心臓発作で倒れたのだ。
夫の賢司が駆けつけた時は、もうすでに帰らぬ人となっていた。
死ぬ間際の賢司に掛かって来た携帯の「助けて。」の声が、まだ賢司の耳の奥に残像の様に焼き付いている。
6畳の和室に敷かれた布団に横たわる怜子。
賢司は、今朝まで元気だった怜子が、今こうして動かない人形のような状態になってしまったことを受け入れられずに、無理やり身体を起こして、抱きついて頬ずりをする。
怜子の頬の冷たさに、ギョッとしたが、それでも、怜子をしばらく抱きしめていた。
「ああ、怜子。どうして死んでしまったんだ。」
思わず口をついて出た言葉だが、死んだ理由なんてないことを賢司自身解っている。
今日の今日まで、自然体で笑っていた怜子を思い出すと、若くして死ななきゃいけなかった怜子の性が悲しくて、運命の非情さを感じていた。
これから、どうしたらいいんだ。
葬儀屋にも連絡しなきゃいけないし、親戚に電話もしなきゃいけないだろう。
しかし、そんな気になれないでいた。
「あと1日でもいいから、怜子の生きている姿を、もう一度見たい。」
それは、賢司の本当の気持ちだった。
生きて動いている怜子と、死んで動かない怜子の間には、ほんの1秒の時間しかない。
いや、1秒もない時間で、生と死が隔てられているのだ。
その1秒の時間を、ちょっと後にずらしてくれるだけでいいんだ。
生きている怜子に会いたい。
怜子の顔を見つめて泣いていた時に、子供のころに聞いた怪談というか、古くからの言い伝えを思いだした。
伏見の山の奥に、誰も気づかないような神社があって、その裏にある井戸の中に向かって叫んだら、死んだ人も生き返ると言う。
「そんなアホな話あるか。」
ぽつりと呟いたが、気が付いたら賢司は、家の裏にある伏見の山に入っていたのである。
山道を15分ほど歩いただろうか、子供のころに、遊び半分で訪れた神社が、朽ちて崩れるようにして、そこにあった。
裏に回ると、まだ井戸がある。
生い茂った草を引き抜いて、井戸の縁に手をおいた。
まだ、水が湧き出ているのか、湿った苔のヌメリとした感触がした。
賢司は、その井戸の中に向かって、これでもかというぐらいの大声で叫んだ。
「怜子ーっ。戻って来てくれ。生き返ってきてくれーっ。お願いだーっ。」
叫んだ後に、急に正気に戻ったのか、賢司は、びっくりするぐらい明るく笑った。
「あはははは。何、アホなことしてるんや。生き返るわけないやん。」
笑ったかと思ったら、急に悲しくなって、その場で、大声で泣きだした。
大声で叫んで泣いたせいか、幾分、冷静になって、これからの手配などのことを考えながら家に戻った。
そして、和室の前に来た時に、腰を抜かすぐらいに驚いたのである。
「れ、れ、怜子。」
それしか言えなかった。
怜子は、布団の上で気が抜けたように座っていた。
そして、賢司の方を向いて、「あ、賢司さん。」と力なく言った。
「れ、怜子。生き返ったのか。」
「あ、やっぱり、あたし死んでたんやね。急に苦しくなって、気が付いたら、すごく眩しい空間にいたの。でも、なんか、賢司さんの呼ぶ声がして、気が付いたら、座ってたの。」
「ああ、伏見の裏山の井戸に向かって、怜子の名前呼んだんや。」
「やっぱり賢司さんの声やってんね。」
「しかし、ホンマに生き返ったんか。」
「わからへん。あたし、どうなってるの?」
賢司は、慌てて怜子を抱きしめた。
すると、また腰を抜かしそうになる。
怜子の身体は、氷のように冷え切っていた。
「だ、大丈夫か。」
そう言って、賢司は、怜子の目や舌を医者の様に観察して、腕の脈をみたときに、脈がないのに気が付いた。
びっくりして、胸に耳を当てて心臓の鼓動を確かめる。
「怜子。心臓が動いてない。」
「あはは、どういうこと。あたし、今、生きてるやん。」
「そやから、生きてるんやけど、心臓は止まってるねん。」
「そしたら、死んでるっていうことなの。」
「いや、死んでるのかもしれへんけど、生きてる、、、よな。」
「やだ。うち、死んでるなんて、いやや。」急に寂しそうな顔になった。
「いや、そんなこと言うたかって、心臓動いてないし、、、。」
しばらく、今、置かれている状況を把握できずに、訳の分からない話が続いた。
「もう、こんな話してても、いっこも、前へ進めへんわ。」
「それは、そうだけど。」
怜子も賢司も、今ある状況を理解できないでいた。
怜子は、たぶん死んでいるのだろう。
でも、こうやって普通に会話も出来ている。
そんな理屈よりも、賢司は、怜子が生きているように振舞っていること自体が嬉しかった。
「あ、コーヒー飲みたいわ。あ、昨日買ったケーキ、まだ半分残ってたよね。」
そう言って、怜子はキッチンの方に行った。
「怜子、大丈夫か。」
小さな声で、賢司は言った。
「大丈夫やないで、あたし、死んでるもん。」
「そやな。」賢司は、それ以上言えなかった。
とはいうものの、この状態に慣れてくると、案外、普通に暮らせるものだ。
怜子の心臓が動いていないというだけで、今までの生活と変わりはない。
「あ、美味しい。やっぱり、フランス屋のケーキは、ちょっと高いけど、美味しいね。」
怜子が笑った。
ああ、やっぱり怜子の笑顔は、ほっとする。
そんな生活が4日ほど続いた。
朝起きて洗面所に行くと、「あ、賢司さん、まだ来ないで。」怜子が、必死の様子で言った。
「どうしたの?」
びっくりして賢司が聞いたら、「返事がない。」
「怜子。どうしたんだ。気分でも悪いのか。」
すると悲しそうな声で返事があった。
「ううん。化粧の乗りがね、悪いの、、、。っていうか、顔が崩れてきたみたいなの。やっぱり、あたし死んでるのかな。右のほっぺたが、ずるんと落ちちゃいそうなのよ。」
それを聞いてびっくりした賢司は、洗面所の中の怜子を見た。
頬の色は紫色に変色していて、だらりと垂れ下がっている。
その上に、苦労したんだろうな、厚く化粧が塗られている。
かなり怖い状況だが、それよりも、心臓が止まっても、綺麗に見られたいと言う怜子の女心が切なくて、思わず怜子を抱きしめていた。
「あたし、これからどうなるんだろう。」
そう力なく怜子が呟いた。
「分からない。分からないけど、僕のそばにいて欲しい。どんな姿になっても怜子を愛してる。」
その気持ちは本当だった。
「ほんと?嬉しい。」
そう言って笑ったら、前歯が1本ポロリと落ちた。
歯茎も崩れてきているのだろう。
「あ、前歯、落ちちゃった。」
そう言って怜子は、前歯を拾うと、「ねえ、賢司さん。ほら、差し歯、スポン、スポン。」と言って、落ちた前歯を、抜けた歯茎に差したり、引っこ抜いたりしている。
「ねえ、ほら。差し歯、スポン、スポン。」
抜けた前歯を、歯茎に、また差したり、引っこ抜いたりして、そして、嬉しそうに、ニコリと笑った。
そしてまた、「ねえってば。差し歯、スポン、スポーン。」
今度は、最後の「スポーン。」を、かなり大袈裟にやってみせる。
何の反応もない賢司に怜子が言った。
「もう、つまんない。全然、笑ってくれへんのや。ノリ悪いなあ。」
それを聞いて、賢司は、笑うべきだったと後悔した。
賢司は、今まで、玲子が、時間とともに、崩れかけていることを話題にすべきでないと思っていたのだ。
たとえ、こんな状況になっても、女性であるから、そこに触れるべきでないと思っていたのだ。
傷つけたくなかった。
しかし、そんな笑える自虐的なノリも、怜子には必要なのかもしれない。
崩れかけた怜子を認めたうえで、それでも愛していると伝えるべきなのかもしれない。
いや、もっと深い愛であることを伝えるべきだ。
崩れかけた怜子こそが、本当の怜子であって、その怜子を愛していると伝えるべきなのだ。
或いは、生きていた時の怜子より、今の崩れかけた怜子の方が、好きだと。
よし、ここでジョークでも言ってみるか。
「それにしても、目も、かなり、くぼんできたね。それに、目の周り真っ青だよ。」
そう言って、その後に、自信満々に、「キョンシーかーい。」と、言いながら、怜子の肩をポンと叩いた。
すると、怜子は、急に悲しそうな顔になって、「あ、やっぱり、あたしのこと、死んだ亡霊だと思ってるんだ。ううん、バケモノなんだ。」と言って、泣き出した。
それを聞いて、賢司は、「しまった。」と思った。
やっぱり、怜子は、自分の見た目が、崩れて行くのに耐えられないでいたのだ。
きっと、賢司の見えない場所で、苦しんでいたはずなのだ。
また、賢司は、言った言葉を後悔していた。
「ごめん、違うよ。玲子を笑わそうとしてジョークを言ったつもりだったんだ。」
そう言って怜子を見たら、切なそうな諦めた表情で、「あたしこそ、ごめん。解ってる。でも、賢司って、ほんとジョークが下手なんだね。」
そう言って、笑った。
そんなことがあってから、急に賢司は、これからの生活に不安を感じるようになっていた。
これから先、怜子は、更に崩れて行くだろう。
最終的には、骨だけになるのかもしれない。
まさか、骨だけになっても、こうやって、普通に生活ができるのだろうか。
骨だけの骸骨が、コーヒーを淹れて、ケーキを食べているのを想像したら、いささか滑稽なイメージに、吹き出しそうになった。
そんな怜子と賢司の奇妙な生活は、1ヶ月ほど続いていた。
玲子が、シャワーをしている。
水の音に混じって、怜子の泣く声が聞こえた気がした。
風呂場の戸を開けてみると、怜子はシャワーをしている。
振り返った怜子が、悲しそうな目で賢司を見た。
「キャ。恥ずかしい。もう、だいぶ崩れてきちゃってる。」
力無く笑った。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう。でもね、お腹のあたりにね、ウジがわいてきたみたいなの。さっきからね、ウジを潰してるんだけど、次から次に、お腹の崩れたとこから、わいてくるのよ。ほら、また。」
そう言って、腹のあたりからウジを摘まんで、指でプチリと潰した。
「あ、また、わいてきた。」
また、ウジを、ひとつ摘まんで指で潰す。
「また、出て来たよ。ああん、もう嫌だ。潰しても潰しても、ウジがわいてくるよ。あたし、悲しい。」
そう言った後も、賢司を見ることも無く、ウジを潰しては、またウジを腹から取り出して潰している。
もう、ウジのことしか怜子の頭にはなかった。
賢司は、怜子が、たまらなく不憫に思えて来て、後から抱きしめた。
「もう大丈夫だ。ウジは取らなくていい。僕が、今から殺虫剤を買ってきてあげるよ。それをスプレーしたら、ウジなんてイチコロだからね。安心して。」
そう言って、耳元にキスをしたら、吐きそうになった。
こんな生活をしていて、何が辛いかと言うと、匂いだ。
これが死臭というのだろうか。
部屋中に、肉の腐った匂いが充満している。
消臭剤を、部屋に何個も置いてはみたが、そんなものは、何の効果もなかった。
この匂いのせいで、食べることも出来ないし、ずっと、吐き気が続いている。
賢司の精神にも、異常をきたしだしていたのだった。
「もう、ダメだ。こんな生活は耐えられない。」
そうつぶやいた。
しかし、こんな状況を作り出したのは、賢司だ。
賢司が、井戸に向かって叫んだのが原因なのだ。
それを差しおいて、今の状況から逃れたいなんて、なんて我儘な発想なのだろうと賢司自身、そう思うのだけれど、その考えに反して、賢司の肉体と精神は限界に来ていた。
玲子を、こころから愛している。
それは、間違いない。
でも、その愛しているのは、怜子の身体だったのか。
いや、そんなことはない。
玲子の性格も、いや、もっと根本にある怜子の魂のようなもの、それも愛していたはずだ。
でも、肉体が崩れかけようとしている今、その魂だけでは、愛を続けて行くことのできないことを知った。
もう、ダメだ。
こんな怜子を置いていくなんて、なんと卑劣な人間だと思われるかもしれないが、そんなことをも無視しなければやっていけないほど、賢司のこころは崩れていた。
普通の人なら、心優しい人なら、このまま怜子と暮らしていくのかもしれない。
でも、その時の賢司には、無理だったのだ。
風呂場を見ると、まだ怜子は、ウジを一つひとつ、腹から取り出しては、指で潰している。
もう、限界だ。
賢司は、怜子が風呂場にいる間に、自殺しようと思った。
こんな生活から逃れたい一心だった。
いや、それなら逃亡することも出来たのだけれど、それでは怜子が可哀想だ。
それなら、自分も死んで、怜子に詫びたい。
「僕だけ、あの世に行くことを許して欲しい。」
そう力なく言って、柱にロープを引っかけて、首を吊った。
玲子が、ウジを潰すことに没頭している間、賢司は、ロープで首を吊ったまま、死んでいた。
首の骨は折れ、長く伸びきっている。
30分ほど経っただろうか、怜子が我に返って、賢司がいないことに気が付いた。
慌てて部屋に行くと、賢司が首を吊って死んでいる。
「け、賢司さん。どうして首を吊ったの。ねえ、どうして死んじゃったの。あたしのせい?ねえ、あたしが、こんなだから、もう嫌で死んじゃったの?あたしのこと愛してくれてたんだよね。こんな崩れたあたしでも、愛してくれてたんだよね。」
そう言って、怜子は賢司の身体にしがみついた。
すると、怜子の体重で、さらに賢司の首が、ビヨーンと伸びた。
それを見て、怜子は、びっくりして後ろに、腰が抜けたように、こけた。
「首って、こんなに伸びるんだ。」
賢司の首の長さが、何故か怜子のツボにはまったのか、ちょっと笑いそうになった。
でも、すぐに賢司が首を吊って死んでしまった事実が、怜子を現実にもどした。
「いやだ、いやだ。賢司が、死んじゃったら、いやだーっ。今日は、あたしが死んで1か月のキョンシー記念日だって、それでケーキ買ってお祝いするはずだったでしょ。ねえ、死なないでーっ。」
そう言って泣き崩れた。
「会いたいよ。賢司に、会いたいよ。賢司とお話したい。賢司の笑う顔が見たい。どうして、どうしてなの。」
置き去りにされた悲しみの中で、怜子はあることを思い出していた。
伏見の山の神社にある井戸だ。
「そうだ、賢司は、井戸の中に叫んで、あたしを生き返らせてくれた。あたしも、賢司を、生き返らせてあげる。」
そう言ったかと思うと、怜子は、伏見の山に向かっていた。
そして、井戸の中に向かって叫んだ。
「賢司さーん。戻って来てーっ。賢司さーん。」
ひとしきり叫んで、怜子は家に帰った。
でも、本当に賢司は生き返るのだろうか。
あたしは、生き返ったけど、賢司も、生き返ってくれるかな。
賢司だけ、あの世に行っちゃうなんて、あたし耐えられない。
家に帰る怜子は、早く賢司の様子を確かめたくて、必死で走ったが、筋肉が崩れているのでなかなか走れない。
ようやく、家にたどり着いて、部屋を見ると、賢司がロープを自分で外したのか、その床に力なく座っていた。
「賢司さん。生き返ってくれたのね。」
そう言った怜子の声を聞いて賢司は振り返った。
「ああ、怜子が、井戸に叫んでくれたのか。うん、一瞬、光の世界に行ったかと思ったら、なぜか、ここに座ってたんだ。」
「そうよ。井戸に叫んだの。でも、良かった。賢司が生き返ってくれて。」
「ああ、そうだね。」賢司は、ぼそりと答えた。
「でも、首を吊ったから、賢司さん、首がビヨーンと伸びきってるよ。あはは、可笑しいよ。」
「そうなんだ。さっきから、首を垂直にするのに、必死なんだ。どうにかならないかな。」
「あたしが、頭の上から押してみるね。」
そういって、頭の上から、力を入れて押したら、少しだけ首が縮んだ。
「ああ、これで、ちょっと楽になった。ありがとう。」
「コーヒーでも淹れようか。」怜子は、嬉しそうに言った。
「ああ、砂糖をたっぷり入れた甘いのがいいな。」
「オッケー。」
そう言って、キッチンに立って行った。
賢司は、その後姿を見て思った。
一瞬、あの世に行って楽になりたいと思ったが、こうして、この世に戻って見ると、この世界も、なかなか居心地がいいかもしれないな。
そういえば、死んだせいか、怜子の死臭も、もう気にならなくなっていた。
コーヒーを飲みながら、怜子を見る。
「あのさ、前はさ、前歯1本だけ差し歯みたいになってたでしょ。でも、今は歯全部、抜けちゃったの。ほら、歯全部、スポン、スポン。」と言って、両手で歯全部をもって、崩れた歯茎に、差したり、引っこ抜いたりしてみせた。
「あははは。馬鹿だな、怜子は。」
何故か、今は、こころから笑えることに気が付いた。
「ねえ、あたしたち、これから、どうなっちゃうんだろう。このまま腐っちゃったら、骨だけになっちゃうよ。もう、骨だけで、骸骨みたいになって、2人で暮らしてるの。ねえ、そんなこと出来るのかな。筋肉無いのに、動けないんじゃないのかなって、あたし、心配してるんだ。」
優しい笑顔になって怜子は言った。
「そうだね。僕も、いずれ腐っちゃうだろうね。そんでもって、骨になっちゃうね。しかし、骨だけ動くなんてことは、科学的な思考では不可能だよね。」
「あはは、そうだ。もし、骸骨になっても動けたらさ。ユーチューブに、骸骨ダンスなんてアップして見ない。」
玲子が、満面の笑みで、テーブルに身を乗り出して言う。
「それもいいね。人気者になっちゃうかもね。」
これからの怜子との生活が、どうなっていくなんてことは、もう、どうでも良かった。
ただ、怜子と、こうやって暮らしていけることが、何にも代えがたい幸せなんだと思える。
「怜子、愛してるよ。」
「賢司さん、あたしも。」
玲子が、そういって笑ったら、怜子の右の目玉が、コトリとテーブルに落ちた。
賢司は、その目玉を拾った。
目玉が取れてしまった怜子の顔を見ると、目の取れたあとの穴が赤黒い。
その目の穴が、賢司は愛おしくて堪らなかった。
そっと、目玉を、怜子の目玉の穴に差し込んだ。
「もう、どうして、黙って目の玉を入れたのよ。そこは、スポンって言いながら、目の玉入れなきゃでしょ。」
そういって、怜子が笑った。
この幸せが、永遠に続いてくれと賢司は思った。
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