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プロローグ:彼女の世界
その呪術師に睨まれた者たちが次々と倒れていく中、彼女は、神木結子だけはイラついた表情をしながらも、平然と立っていた。
「な、なぜじゃ!?何故お前には私の呪術が利かぬのじゃ!?」
すると彼女は呪術師をキッと睨み付けて言い放った。
「はぁ?バッカじゃない!?この世に呪術なんてあるわけないでしょ!?くだらないコスプレでおかしな小道具を持っておもしろくもない呪文をいくら唱えたところで、人がどうにかなるわけないじゃない!!あんた、頭悪がいんじゃないの!?」
そう言って彼女はツカツカと「自称呪術師」に歩み寄ると、その恐ろしげな仮面をいともたやすくはぎ取って見せた。
そう。彼女は呪術に抵抗力があるわけでも、対処するすべを知っていたわけでもない。
彼女は呪術の存在を信じない、認めない、ただそれだけで呪術をはねのけていたのだ。
……いや、これは失言だったかもしれない。僕がこんな説明をしたなんて知れたらあとでこっぴどく叱られるかもしれない。
だから訂正しよう。
呪術なんてものは存在しない。
存在しないものが害を及ぼすことはない。
だから彼女は平然としていられる。
それが神木結子であり、彼女の住む世界なのだ。
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