ソウルメイト

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怜さんは俺が挨拶する暇も与えてくれなかった。 「ついに人間を拾ってきたかあ」 和服が似合う、前髪が少し長いインテリな顔。教科書に載っていた誰かに似ている。 諦めの表情で怜さんは笑った。 「すいません。免許とか再発行の手続きしたらすぐ帰ります!」 俺は頭を下げた。この空気はまずい。あきらかに迷惑というため息をつかれて俺は「邪魔者」だというのを実感した。 「あっそ。どうぞごゆっくり。何かあればこの遥斗に言って」 そう言って怜さんが奥の部屋に戻っていく。 「…電話、貸してください。実家に連絡して迎えにきてもらいます」 俺は下を向いてうなだれた。 遥斗さんはくすくすと笑っている。 「どうしてもって言うなら止めないけど、怜は今日機嫌いいみたい。俺たち二人以外ここに入るのを許したの初めて見た」 まるでイタズラを許してもらった子どものようにずっと笑っていた。 俺は駒じゃないと思いながら、遅い時間だし今夜だけ甘えさせてもらおうと思って中に入った。 ととと、可愛い足音に目をむけると三毛猫が走ってきて遥斗さんの足に絡んでいる。 「この前俺が拾ってきた猫。ネコちゃんって呼んでる。可愛いでしょ」 遥斗さんはゆっくり持ち上げて愛おしくてたまらないという顔をしていた。 怜さんには猫も人間も同じ扱いなのかもしれない。
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