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この日本で落とした財布が戻ってこないなんて信じられない。
あきらかに盗まれた。そう思うと気が重い。
「怜に食事運んでくるからここで食べてて」
怜さん専用なのか、プレートに俺と同じメニューのご飯を乗せて奥の部屋に行ったきりなかなか戻ってこない。
食べ終わって食器を洗い、用意された俺の部屋に戻ろうとした時、お風呂から遥斗さんの喘ぎ声が聞こえた。
そういう関係なのね…。
そりゃ男を拾ってきたらいい気はしないだろう。
早くここを出なければ。
なんて思いつつ聞き耳をたててしまう。
「のぼせるぞ」
怜さんの意地悪な声が聞こえた。されているのは遥斗さんか。
「やだ、もっと…」
「じゃ、一回出ろ」
湯船から出たのか、シャワーの音がした。
「あ…、あ‥、そこ、イヤ……」
「お前が誘ってきたんだろ。イヤならやめようか?」
「…イヤ」
「どっちなんだよ」
シャワーの音は続く。俺はそっと放れて自室に戻った。
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