八方塞がり

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今までの経緯を怜さんに話すと少し難しい顔をした。 「悪用される前にすぐ停止する手続きしないと」 「それも実家に帰らないと何もできないです」 遥斗さんが淹れたコーヒーを飲みながら怜さんが何か考えている。 「ご両親が冷静になった頃もう1回電話してみたら?親と仲悪いの?」 「いえ、普通です」 第一印象はお互い悪かったと思う俺を怜さんだけど、この問題でそれが消えた気がする。 「大学合格で運を使い切った感じだね」 「もう」 怜さんと遥斗さんの掛け合いは悪意はないんだろうけど仲の良さを醸し出している。 「頭の回転がいい人なら再発行ができるものはやってくれるだろうけど本人が行かないとダメなものもあるしパスワードわかんないから。絶望的だ」 「俺のこと心配どころか勘当扱いする親ですから期待できないです」 腕を組んでしばらく怜さんが考えていて、俺は途方に暮れている。 「ここにずっと住むのも困るしね」 怜さんの立場だったら俺もそう思う。 そして俺の事で遥斗さんが毎晩怜さんに乱暴に扱われていることも知っている。 全ては俺の不注意から始まったことだ。 やっぱり俺は邪魔者だ。
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