八方塞がり

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俺は禁断の怜さんの部屋の前にいた。 『別に今言わなくてもいいか』 遥斗さんに言って、伝えてもらおうと襖から離れる。 「……」 フスマだから聞こえちゃうんだよね。 「お願いだから、書いてよ」 怜さんの甘い囁き。 「もう、ダメだよ…。こんな…こと」 「書けないんだ。何も浮かばない」 部屋からスマホの通知音が聞こえる。 「ほら、催促されてる。もう時間がないんだ」 「あ…、ダメ‥。自分で……」 「お願い怜」 「うっ…、ん、ああ…」 「俺の変わりに、書いて」 ふすまの向こうから怜さんの甘い声が続いている。 どういう事? 遥斗さんは怜さんのゴーストライター? 「ああ…う、あ…怜……ぁ」 「書き終わったらもっとしてあげる」 「いま…、して。もっと…‥」 「ご褒美は書いたあとたっぷりあげるから」 世の中って汚い大人しかいないのかと思いながらそっと離れた。
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