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とにもかくにも事件は終わった。
たぶん磯村自身、自分の暴走を止めてほしかったんだろうが、景子としてはいい面の皮だ。結局は他人の恋愛に振り回されただけとは……。
と、思いきや、
「だけど、まだ疑問が残ります」
帰り道でゴンタロウから問されて、景子の足は止まった。
「なにが?」
「なぜ、もう少し壁に貼っておきたくなるポスターにしなかったんでしょう? 例えば岩井君がファンのサッカー選手とか?」
「あ! それ、わたしも考えた!」と、三田も納得できないようだ。
すると、景子は「うーん! 自己顕示欲なんじゃない? 自分を見て! というゴリ推し」と、仮説をたてたが、「そんならわざわざ画鋲で目を潰した写真なんか送らないよね」と、三田から突っ込まれてはギブアップするしかない。
しかたなく景子は「明日、《悪魔の脳ミソ》に訊いてみようよ」と、疑問を北島に丸投げした。
で、翌朝、教室で一部始終を訊いた北島は、「この件は、わたしが預かる。磯村さんには二度とこんなことをしないように注意しておくから」と、言いだした。
それに、景子が「え? それ、わたしが……」と、言いかけるのを、北島は学級委員長の貫禄で「うふふふふ! でも逆恨みされたらつまらないでしょ」と、止める。
三田からも「委員長に任せなよ、景子――おとなしいようで、磯村は逆恨みするタイプかもよ」
と、注意され、考え直した。
敵にまわせば、なにをするかわからない北島だ。《悪魔の脳ミソ》と異名をとる彼女に逆恨みするクラスメートがいるだろうか?
さて、写真の謎についての北島小夜子の見解は、こうだ。
「あの画像の目が画鋲で潰れていたのは、磯村さんが人を監視する行為に後ろめたさを感じてたんだろうね。うふふふふふ! 残念と言うか、人ってわかんないよね、うふふふふふ!」
これを聞いて恵子と三田は顔を見合わせた。
(この人が言うかね)
と、思ったからだ。
了
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