400万の瞳

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 ちなみにゴンタロウは戦闘用アンドロイドで、ひょんな事件のあと、景子の家で家事手伝いをしている。  頭の中身はセンサーの塊なので、この種の探索は得意中の得意だ。  「これでターゲットの磯村さんが部屋に一人かどうかを確認していたんでしょう」と、話しながら、あっさりと机のスタンドにつなげてある延長コード式の盗聴装置を見つけ出した。  「これで一安心ですね物的証拠が出たんですから、警察に相談して、相手を牽制することが大切です」  が、景子は釈然としなかった。  じつは磯村樹という少女を少しも信用していない。  なぜなら、その娘、とびきり器量がいいわけでもなし、はっきり言って地味でモテるタイプじゃない。  後日、景子は親友の三田香(みたかおり)と《悪魔の脳ミソ》こと学級委員長の北島小夜子(きたじまさよこ)に相談してみた。  北島は「自分がストーカーするのを誤魔化すための下準備じゃないかな? その写真を送るストーカーの被害者にまぎれれば、容疑者から外れるじゃないの。うふふふふ!」と、即座に磯村の企みを見破った。  それには三田も賛成した。  「ミステリーではよくあるトリックだね。盗聴器も自分で取り付けた可能性が無視できないし」  それを聞いて景子は頭を抱えた。  「えらいのとかかわってもうた~」  「そういえば、磯村はサッカー部の岩井勝則(いわいかつのり)に惚れて、何度もメールアドレスをゲットしようとしては撃沈されているらしいよ」  と、情報通の三田が重要な話を聞かせてくれた。
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