家庭

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 それから少し時間を置き、きょうだいと話す機会ができた。 「あんたの意見が通ったね」  そう言ってみたが奴の表情は冴えない。『離婚してほしくない』が本音でないのは分かっていたが、なぜあの場でそう言い腐ったのかが知りたかった。 「あ”ぁ?」 「良かったやん、多分離婚せぇへんで」 「何でそう言い切れるん?」 「あんたの意見やからや、おかんはあんたの言葉を採用する」  私の言葉にきょうだいの表情が歪む。 「だったら離婚する」 「何でや?」 「あんたの意見と違えてるから」  最初は意味が分からなかった。しかしきょうだいの中では一つの算用が出来上がっていた。そこで話は終わっているので確認をしたわけではないが、恐らく私が離婚に賛成したので母は思い留まる可能性が出てきた……それを危惧した奴はわざと異を唱えて母の感情に杭を打とうと試みた。  奴は我が家のアホ遺伝子を受け継がずそれなりに頭は良かったので、ある程度の深読みと場の空気を読み取る洞察力があった。しかしそれは相手もそれなりに賢くないと事は上手く運ばない。こう言ってしまえば何だが、いくら一卵性親子を自負しているツーカー同士でも、母の脳みそレベルでそんな高度な算用を読み取れる訳が無い。  結果はもちろん、離婚は回避されてしまった。
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