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冴子は考えた。小川が金持ちなら、中途半端な年齢より、むしろ89歳の方が本当に先は短いのだから、結婚してしまおうかと。
冴子は、即断した。
「わかった。私、おじさんと結婚する。父さんや母さんは、いつも私に、おじさんと結婚したらいい、って言ってるし。私も、ここにいたって何も楽しいことない。お嫁さんになるわ。」
小川はパアッと明るい顔になり
「おお、よくぞ決心してくれた。んじゃ、さっそく、おじさんといっしょに行くべ! 何か持って行きたいものあったら、この風呂敷に包め。」
と、薄汚れた風呂敷を取り出した。
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