先輩困ります

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「じゃあこの椅子に座って」 「はい」 「左足上げれる?」 「こうですか」 「そうそう。で、首ちょっと左に傾けて…左膝の上に左腕乗せて、目線は窓の方向いててね」 「……」 「そうそう。おっけー」 ちょっと男の子みたいな格好だな ジーパンで来てて良かった うちの高校は校則ゆるゆるだから 私服登校とかピアスの穴とか良いんだよね スマホも自由に使えるし 「あ、ちょっと髪の毛触っていい?」 「どうぞ」 ぱさりと、先輩側からは目が見えない様に髪がかけられる 目が隠れてる状態かな 「痒くない?」 「大丈夫です」 「じゃあ描くからじっとしててね」 「はい」 かたんと先輩が椅子に座る音がして、しばらくして鉛筆の音がし始めた 静かな時間は好きだからありがたい 向こうから目は見えないから瞑っても良いよね シャッシャッと鉛筆が擦れる音が不規則に聞こえる 先輩静かだな …こんな事言って申し訳ないけど さっきまで少しうるさかったから グラウンドの方から小さく掛け声が聞こえる きゃははと楽しそうに笑う小学生位の子達の声も 「ねえ後輩ちゃん」 「…なんですか」 急に声をかけられたから少し驚いた 動いちゃ駄目だから声だけで返事をする 「後輩ちゃんって、何でボーイッシュな服着てるの?」 「……女の子っぽい服は似合わないので」 「ロングスカートとか似合いそうなのに」 「こんなでかい女がスカート穿いても可愛くないですよ」 話しかけてきたと思ったら そんな事か
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