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「お兄ちゃん、おはよう」朝からミユキの可愛い声で目覚める。 頬になにか柔らかいものが触れた感触がした。 ま 「ああ、おはよう」俺は頬に手を触れながら起き上がろうとするが、体の上に何かが乗っており起き上がることが出来ない。  ゆっくり眼を開くと俺の体の上にミユキが馬乗りしている。  彼女は可愛いエプロンを身につけ、上半身を乗り出して俺の顔を覗きこんでいる。  ミユキの美しく端整な顔が俺の目と鼻の先にあった。  恥ずかしいので視線を下に落とすと胸の谷間が露わになっていた。あれ、さっきの頬に触れた感覚は……まさか! 「ミユキ! お、お前さっき、まさか俺に……キ、キスしたのか」俺は顔を真っ赤にしながら視線をミユキの唇に集中させた。 「だって、何度起こしてもお兄ちゃん起きないんだもの」彼女は俺の上から降りる。がその動作の一連で下着がちらりと見える。 「起きないからってキスするなんて聞いたこと無いぞ!」  うろたえる俺を無視して彼女は微笑んでいる。 「今日も学校に行く日でしょ? 朝ごはん食べないと持たないよ」彼女は妹というより新妻のような口調で言った。 「そんな事何処で憶えたんだ。ここに来たときはまともに日本語さえ喋れなかったのに」ここ数日で彼女の語学力知識の向上は目を見張るものがある。 「だって、お兄ちゃんが学校に行っている間、暇なんだもの……ミユキは一日中、テレビを見ているのよ。日本語位簡単に覚えてしまうわ」ミユキは少し寂しそうな顔をして下を向いた。 「いや、テレビ見たくらいでそんな……」そんな簡単に知識を習得出来るのであれば俺も学校なんぞ行きたくない。 「せっかく作ったのにお味噌汁が冷めちゃうよ。早く食べようよ。お兄ちゃん」ミユキはテーブルの前にチョコンと座った。俺も頭を掻きながら座る。 「朝お風呂する? なんならミユキも一緒に入るけど」言いながらエプロンを外す。 「い、いやいい! そんなに時間無いし! あ、旨いこの味噌汁!」彼女の作った味噌汁を流し込んだ。それはお世辞でも無く本当に美味しい味噌汁であった。  昼の主婦が見る昼ドラの影響のせいか、ここ最近ミユキの行動は大人びたというか、ドキリとさせる時がある。決して俺が彼女にエロい事を教えているわけでは無いのだ。 「ふーん。残念……それじゃあ学校から帰って来たら一緒に」 「入りません!!」俺は誠意一杯拒否した。 「ちぇ、残念」彼女は何故か舌打ちをした。なにが残念なのか理解に悩む。  唐突ではあるが、もの前にいるこの少女は俺の本当の妹ではない。  それどころか一緒に生活しながらも彼女の素性もよく判らない。本来であれば警察かなにかに連絡すべきであるのであろうが、惰性でここまで来てしまった。  ただ一つ確かなのは、彼女は普通の人間ではないということだ。  たぶん……。
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