御届け物

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御届け物

 俺の妹はある日突然配達されてきた。 「お届けものです」インターフォンが鳴りボタンを押すと帽子を深々と被った宅配業者らしき人物が映っていた。  俺はろくに返答もせずにオートロックの解除ボタンを押した。  しばらくすると玄関の呼び出し音が聞こえたので印鑑を片手に飛び出す。 「ここに印鑑をお願いします」言われるままに捺印する。「それでは荷物を搬入いたしますので」宅配業者はそういうと大きな箱を部屋の中に押し込んだ。 「ちょ、ちょっとなんですか? これは!!」その巨大さに俺は驚愕した。それは俺の体と同じ位の大きさであった。  もちろんこんなものを注文した憶えはない。 「さあ、精密機械と記入されていますが、私達は中身までは把握しておりませんので……それでは失礼いたします。毎度有難うございます!」なんだか彼の勢いに負けて荷物を受け取ってしまった。 「もしかして、新手の送り付け詐欺か?」以前テレビかなにかでそんな事件の記事を読んだ気がした。なんだか怖い感じもしたが、この大きな箱の中に何が入っているのかも大変興味があった。 「万が一の場合、クーリングオフで送り返せばいいか」本当はクーリングオフの仕組みも良く判っていないが、まあ何とかなるかと思い包みを破った。巨大な包装を取り去ると無機質な鉄の箱が現れる。  箱の上部には『MⅡ』との表記がされていた。触れてみるとヒンヤリとして冷たい。まるで中に氷でも入っているかと俺に連想させた。  箱を上を横から眺めると小さな穴が一つ開いている。その穴をボールペンで突いてみると、箱の表面に『CLEAR』という文字が浮き出てきた。慌ててその文字の上を触ると赤いボタンを見つけた。  そこには『OPEN』小さな文字で表記してある。俺は唾をゴクリと飲みこんでから恐る恐るそのボタンを押した。  唐突に上部の蓋が上に浮き上がったと思うと、横にスライドした。  箱の中からは猛烈な冷気が噴出する。俺の部屋の中はドライアイスでも焚いたように真っ白になった。 「な、なんなんだ! これは?!」その光景に俺は唖然として口を開いた。しばらくすると霧が晴れていくように視界が復活していく。  見慣れた部屋の中、見慣れない四角い箱。 その箱の中を覗き込むと見たことの無いような美しい少女の姿があった。 「これは、人形か……もしかしてダッチ……なんとか?!」俺は好奇心で目を見開いた。と同時にダッ……いや、少女も目を開く。 俺達は見つめあう形になっていた。  彼女の瞳が何かを読み取っているように小刻みに動いた。 その動きに俺は少し仰天した。 「キャリュビレーションカンリョウ」少女の口が開き、無機質な機械のように棒読みでその言葉を読み上げた。
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