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「というか、アンタはいったいなんなんだ?」
「先ほども説明した通り、わたしは生ける都市伝説メリーさんです!」
「メリーさんねぇ……」
扉一枚隔てた向こう側にいる少女は自分のことをメリーさんだと名乗っていた。
メリーさん。この言葉を誰しも一度は聞いたことがあるだろう。真夜中突如電話がかかってきて、出ると『もしもし、わたしメリーさん。今あなたの家の近くにいるの』というそれが何回か繰り返され、だんだん近づいてくる。そして最後に『わたしメリーさん。今……あなたの後ろにいるの……』という感じで終わる有名な都市伝説だ。けど、所詮都市伝説。実際にあるわけないと思っていたが……実在したらしい。
元々人形だったメリーさんには色んな姿があるらしいが、ドアの向こう側にいるメリーさんは赤を基調としたフリルがたくさんついた服(ゴスロリとかいうやつか)を身にまとい、髪は金髪、瞳は碧眼となんかどこかで見たことのあるような風貌をしていた。
そんなメリーさんが家に来たのは日付が変わる頃。始まりは一本の電話からだった。
遅い晩飯を終え、風呂に入り、今日という余韻に浸る間も無く一日を終えようとしていたら、プルルルル、とスマホが鳴った。なんだこんな時間にと思っていたら、スマホの画面には非通知着信。こんな時間に迷惑だと思いつつ、放置していたが、電話が鳴り止む気配はない。
面倒なことになるかもしれない。そんな気配を感じつつ、通話をタップした。
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