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「あのさメリーさん」
「なんでしょうか」
「俺、今からドアを開けようと思う」
「ほ、ほほほ、本当ですか!?」
「うん。メリーさんには話聞いてもらってその上励ましてもらったからさ、こっちもメリーさんのお願いくらい聞かなきゃと思って」
鼻をかきながら言う。こんなこと言うなんて照れ臭いことこの上ないけど、俺とメリーさんの間には妙な連帯感が生まれていた。
このドアを開けたらメリーさんになにかされるかもしれない。仮にそうだとしてもメリーさんならいいか。
ゆっくりとドアの鍵を開ける。すると──、
ガンッ!
ドアが開いた大きな音を立てた。音の正体はチェーンロック。防犯のためにいつもかけていた。鍵を開けたけど、チェーンを外すのは忘れてた。ちなみに鍵を開けてからドアが開くまでその間わずか一秒。つまり、鍵を開けた瞬間ドアが開かれたということだ。
「……」
「……」
俺たちの間に妙な沈黙が流れた。
「な、なんでチェーンがかかってるんですか!? あの流れなら扉を開けてこんにちわじゃないんですか!?」
「いや、都会って物騒だからチェーンぐらい必要でしょ」
「なにか弱い乙女みたいなこと言ってんですか! ぐぬぬ……このチェーンさえなければ……」
ちっ、とメリーさんが舌打ちしていた。どうでもいいが都市伝説にもなるような存在が舌打ちとかやめてほしい。
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