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夢
『ところで、次はどこへ行くつもりなんだ?』
「どこって…特に行くあてがあるわけじゃないけどな。
ま、気の向くままって感じだな。」
『無計画な所がおまえらしいな…』
「うっせぇ…」
いつものように軽い口喧嘩をしながら、ジュリアンとエレスは旅立った。
いくつかの小さな町を通り過ぎた所でオパールの採れる鉱山の噂を聞きこみ、ジュリアン達の次の行き先は早速その町に決まった。
その町へは、一週間程の時間がかかった。
「ここだな!
けっこう大きな町じゃないか!」
『鉱山が賑わってるからじゃないのか?』
「そうかもしれないな。
それにしても腹が減った。
宿に行く前にどこかで腹ごしらえといくか…」
ジュリアンは、目に付いた一軒のレストランへ向かった。
昼食を採るには遅い時間だったせいか、店内はちょうど良い具合に空いていた。
「いらっしゃいませ!」
「なんでもいいから、腹にたまるもんを頼む!」
「かしこまりました。」
席に着いたジュリアンは、なにげなく店内を見渡した。
「けっこう趣味の良い店だな。」
『おまえには似合わん店だな。』
「……おまえは本当にいやなことばかり言う奴だな…
あ…」
『どうした?』
「いや…あの絵…」
ジュリアンは、壁にかけられた絵を指差した。
その絵には町から丘を見上げたような風景が描かれている。
丘の上には赤い屋根の小さな家が描かれ、青い空と丘の緑とその赤い屋根が絶妙なコントラストを生み出していた。
『このあたりの風景なんじゃないか?』
「そうじゃなくて…
俺は絵のことはよくわからないが…なんだか良い絵だな。
なんていうのか…優しい雰囲気で…
今にもあの丘の向こうから小さな女の子が手を振りながら駆け出してきそうじゃないか?」
『……おまえは柄に似合わず空想家なのだな…』
「柄に似合わなくて悪かったな!」
「……お客さん…なにか?」
ジュリアンの背後から先程の店員の声が聞こえた。
「あ…?あ、いや、なんでもないんだ。
俺は独り言を言う癖があってな。ハハハハ…
あ、スープを持って来てくれたのか?
ありがとう!
いや~、うまそうなスープだな。
早速いただくとしよう!」
ジュリアンはその場を取り繕うために早口でそうまくし立て、店員の手からスープを受け取るとすぐさまそれを口に運んだ。
「あちちち!
熱いけど…こいつはうまい!!」
「それは良かったです。
すぐにお肉が焼けますから、待ってて下さいね!」
「あ、あふぃがとう~!」
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