11/24
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「……ん……」 ジュリアンは、眩しい光に目を細めた。 「あ~~~っっ! もうとっくに夜が明けてるじゃないか! なんで起こしてくれなかったんだ!!」 『夜が明けたら起こしてくれなどと、おまえは一言も言わなかったではないか。』 「く……そういう時は、言われなくても気を利かせろよな!!」 エレスをぐっと睨み、ジュリアンは立ち上がる。 「早く、アルドーを探さないと!」 ジュリアンは、最初に会った男に早速アルドーのことを尋ねた。 「ちょっと尋ねたい事があるんだが… 最近、この町で黒い巻き毛で痩せ型で、そうそう、こっちの頬にほくろのある27~8歳の男をみかけなかったか?」 「あぁ…それなら…」 「見たのか?!」 「確か、昨日の朝早くにそんな感じの男を見たよ。 ちょっと神経質そうな男じゃないのか? 何か思いつめたような顔そしてたから、俺もちょっと気になってたんだ。」 「多分、そいつだ! で、そいつはどこに行った?」 「ここをまっすぐ行ってたから、多分、隣町に行ったんじゃないか?」 「そうか!ありがとう!」 「あ…その男がどうかしたのか?」 ジュリアンはその言葉に振り向きもせず、駆け出した。 しばらく行った所で、さらに出会った数人の町の者達に話を聞くと、そのうちの何人かがやはりそれらしき男を見たと答えた。 「おまえの言う通りだったな! やっぱり、アルドーはこっちに来てたんだ。 くそっ! 先にこっちに来てたらきっとすぐにみつかったのに…」 『今更そんなことを言っても仕方がない。 それより、早く隣町に行った方が良いんじゃないか?』 「そんなこと言われなくてもわかってらぁ! だからこうやって走ってるんだろうが!」 『そういえば…』 「なんだ?」 『隣町には港があったな…』 「あ……そういえば、そうだったな! ま、ま、まさか、おまえ、アルドーの奴がそこで… な、な、なんてことを言いやがるんだ! 縁起でもねぇ!」 『なにをわけのわからないことを言ってるんだ。 私は、港から船で旅立ったのではないかと思っただけだ。』 「あ……なんだ、そういうことか、脅かすなよ!」 『私は脅かしてなどいない。 おまえが勝手に勘違いをしただけだ。』 「あぁ~面倒臭ぇ!もうそんなことはどうでも良い! とにかく隣町に急ぐぞ!」 ジュリアンは、さらに加速をつけ街道を走り続けた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!