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「……ん……」
ジュリアンは、眩しい光に目を細めた。
「あ~~~っっ!
もうとっくに夜が明けてるじゃないか!
なんで起こしてくれなかったんだ!!」
『夜が明けたら起こしてくれなどと、おまえは一言も言わなかったではないか。』
「く……そういう時は、言われなくても気を利かせろよな!!」
エレスをぐっと睨み、ジュリアンは立ち上がる。
「早く、アルドーを探さないと!」
ジュリアンは、最初に会った男に早速アルドーのことを尋ねた。
「ちょっと尋ねたい事があるんだが…
最近、この町で黒い巻き毛で痩せ型で、そうそう、こっちの頬にほくろのある27~8歳の男をみかけなかったか?」
「あぁ…それなら…」
「見たのか?!」
「確か、昨日の朝早くにそんな感じの男を見たよ。
ちょっと神経質そうな男じゃないのか?
何か思いつめたような顔そしてたから、俺もちょっと気になってたんだ。」
「多分、そいつだ!
で、そいつはどこに行った?」
「ここをまっすぐ行ってたから、多分、隣町に行ったんじゃないか?」
「そうか!ありがとう!」
「あ…その男がどうかしたのか?」
ジュリアンはその言葉に振り向きもせず、駆け出した。
しばらく行った所で、さらに出会った数人の町の者達に話を聞くと、そのうちの何人かがやはりそれらしき男を見たと答えた。
「おまえの言う通りだったな!
やっぱり、アルドーはこっちに来てたんだ。
くそっ!
先にこっちに来てたらきっとすぐにみつかったのに…」
『今更そんなことを言っても仕方がない。
それより、早く隣町に行った方が良いんじゃないか?』
「そんなこと言われなくてもわかってらぁ!
だからこうやって走ってるんだろうが!」
『そういえば…』
「なんだ?」
『隣町には港があったな…』
「あ……そういえば、そうだったな!
ま、ま、まさか、おまえ、アルドーの奴がそこで…
な、な、なんてことを言いやがるんだ!
縁起でもねぇ!」
『なにをわけのわからないことを言ってるんだ。
私は、港から船で旅立ったのではないかと思っただけだ。』
「あ……なんだ、そういうことか、脅かすなよ!」
『私は脅かしてなどいない。
おまえが勝手に勘違いをしただけだ。』
「あぁ~面倒臭ぇ!もうそんなことはどうでも良い!
とにかく隣町に急ぐぞ!」
ジュリアンは、さらに加速をつけ街道を走り続けた。
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