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「あの…これは、先程のお肉料理のおわびといいますか…
甘い物がお嫌いだったら、なにか他のものをお持ちしますが…」
「おっ!アップルパイじゃないか。
俺は酒も好きだが、甘いもんも大好きなんだ。
ありがたくいただくよ!」
ジュリアンは運ばれて来たアップルパイにフォークを突き刺した。
『おまえに嫌いなもの等ないもんな…』
「ほっとけ…!」
「え…?」
「あ…悪い、悪い。
なんでもないんだ。いつもの独り言さ!
それで…コンクールはいつなんだい?」
「来週です。
あと一週間しかありませんから、アルドーも、今、必死で描き上げてる所なんです。」
「そうか…優勝するといいな!」
「ええ……実は…」
「どうしたんだ?何かあるのか?」
「実は、私達…前々から決めてたんです。
アルドーが画家になったら結婚しようって。
私は、彼が画家になれてもなれなくても彼と結婚するつもりでしたが、そういう目標があった方が頑張れるって彼が言うもんですから…
私は、彼がずっと好きな絵を描いてくれたらそれで良いんです。
彼は絵を描いてる時が一番幸せそうですし、とっても素敵なんです。
他人が彼の絵を評価するかしないかなんて、私にはどうでも良いことなんです。」
「あんたからそんな風に想われてるなんて、アルドーって人は本当に幸せ者だな。
うらやましいぜ。」
店員は、頬を染めて嬉しそうに微笑んだ。
*
ジュリアンは、店を出ると宿に向かいそこで採掘場の話を聞いた。
残念なことに、オパールがたくさん採れたのは少し前の話で、今では掘り尽くされて良質なものはめったに出ないということだった。
「ちっ!とんだガセネタだったな…
でも、せっかくここまで来たんだ。
1つくらい掘りださねぇとな!
さぁて、明日から頑張るぞ!!」
次の日から、ジュリアンの採掘作業が始まった。
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