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「やっぱり出ないか…」
オパールが出ると言われる鉱山にジュリアンが通い始めてもう三日経つが、宿屋で聞いた通り、それらしき石はまるで出ては来なかった。
『少し遅かったようだな。
もういいかげん諦めたらどうだ?』
「馬鹿野郎!
せっかくこんな所まで来て、小さな物すら掘り出せないなんて、俺のプライドが許さねぇ!!
第一、宿のおやじも良質なものはもうあんまりないってそう言ったんだぜ。
なのに、良質どころか、オパール自体が1つも出ないとはどういうことだ!
俺は諦めないぞ!諦めてたまるもんか!
絶対にみつけてやるからな!!」
『好きにしろ…
期待しないで待ってるからな…』
エレスはそう言うと、エレスチャルの中に姿を消した。
(あいつ、本当に一言多いっていうか、根性が悪いっていうか…
人間だったら、友達がいないタイプだな、きっと。
あんなのと一緒だから、オパールも出てこないんじゃないか?)
ジュリアンは、そんな愚痴を心の中で呟きながら、汗をにじませ土煙に汚れてつるはしをふるい続ける。
掘った土をふるいにかけ、その中にオパールを探すがみつかるのはオパールではなくただの石ころばかりだった。
「畜生~!
こんな所まで来て、一つもみつからないなんて酷い話だぜ!
オパールの馬鹿野郎!
いるならさっさと出てきやがれってんだ!」
半ばやけを起こしながら、なおもジュリアンはつるはしをふるった。
へとへとになるまで掘り続けると、まるで汗と一緒にイライラも流れ出てしまったような…そんな風に気分がすっきりしていることにジュリアンは気が付いた。
(まぁ、こんなこともあるわな。
これで、みつからなかったらもう帰ろう。
また違う町に行って、探せば良いさ。)
気分が冷静になった所で、ジュリアンは土をふるいにかける。
「あ…!!あった!!
あった~~~っっ!!」
ふるいの中には、小さいながらもオパールの原石と思われるものがいくつかあったのだ。
『みつかったのか、良かったじゃないか。』
「エレス、見ろよ!
けっこう綺麗なプレシャスオパールだぜ。
小粒だが色の入り具合も良いな。
やっぱり諦めなくて良かったぜ!」
『しつこいっていうのも、たまには役に立つのだな。』
エレスのそんな皮肉にも、ジュリアンの顔は微笑んだままだった。
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