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* 「いらっしゃいませ。 すみませんが…あ!あなたは…」 「あぁ、良かった。 遅くなったから、もう閉まってるかと思ったぜ。」 「ええ、もうそろそろ閉めようと思ってた所だったんですよ。 でも、あなただったらけっこうですよ! どうぞ、中へ!」 ジュリアンは、宿にも戻らず鉱山の帰りにあの店へ立ち寄った。 この町に着いて最初に入ったあの店だ。 「ありがとうな。だけど、食事は宿か酒場で食べるから良いんだ。 服もこんなに汚れてるし、このまま席に座るのも申し訳ないからな。 実は、今日はあんたに渡したいものがあってな。」 「え…?渡したいもの…ですか?」 ジュリアンは、胸ポケットからハンカチにくるまれたものを取り出し、その中の1つを店員に手渡した。 「これは…?」 店員はジュリアンに手渡されたものを不思議そうに眺めている。 「今、採ってきたばっかりなんだ。 この状態だとよくわからないかもしれないが、オパールなんだ。 磨けば、とても綺麗なものになるぜ!」 「オパールをみつけたんですか!?」 「ほら、こうやって見てみなよ。 色が変わるのがわかるだろ?」 ジュリアンは、店員の手を取り石を見る角度を変えさせた。 「本当だわ!まぁ、いろんな色が絡み合ってすごく綺麗!」 「オパールは愛と希望の石とか幸せの石って言われてるんだ。 あんたの恋人が画家になれて、そして二人が結婚して幸せになれるように…なぁ~んてな。」 「あ…ありがとうございます! すごく嬉しいですが、本当にいただいても良いんですか? オパールって高価なものなんでしょう?」 「あぁ、構わないよ。 磨いてペンダントにでもしてもらってくれ。 きっと、あんたを幸せにしてくれるさ。 じゃあ、コンテスト会場でまた会おうぜ!」 「あ、あの…よろしければお名前を教えていただけませんか?」 「俺か?俺の名前はジュリアンだ。」 「ジュリアンさん…私は、ライラです。 本当にどうもありがとうございました!!」 店を出たジュリアンに、ライラはいつまでも手を振っていた。
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