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「いよいよコンテストも明日だな! ライラの彼氏、優賞出来ると良いなぁ… さて、今夜はライラの店でめしでも食うか!」 ジュリアンは、夕食を食べにライラの店に向かった。 「いらっしゃいませ!」 ジュリアンを出迎えてくれたのはいつものライラではなく、年配の女性だった。 「何になさいますか?」 「あぁ、俺は嫌いなものはないから、何か適当にみつくろって頼むよ。」 「かしこまりました。」 「あ…ライラがいないようだけど…今日はライラはどうかしたのかい?」 「ライラは…ちょっと…」 「何かあったのか?」 * 「ライラ!!」 ライラの友達だと嘘を吐き、ジュリアンはライラの部屋に通してもらった。 「……ジュリアンさん。」 振り向いたライラの頬は涙に濡れ、鼻は真っ赤になっていた。 「ライラ…話はお母さんから聞いたが… 彼氏の絵が大変なことになったんだって?」 「………ええ。 出来上がった絵を私に見せに持ってきてくれる途中で、アルドーは馬車にはねられそうになった子供を助けてそれで…」 ライラは、部屋の隅からバラバラに壊れ、土で茶色く染まった絵の残骸を抱き抱え、ジュリアンの前に差し出した。 「見て下さい。 彼が何ヵ月もかかって描いた絵がこんなことに…」 ライラは溢れる涙を止めることが出来なかった。 「…そうだったのか…えらいことだったな。 それで、彼氏はどうしたんだ?」 ジュリアンのその言葉に、ライラの涙はさらにその量を増した。 「彼は…もう絵はやめる… 私とのおつきあいもやめるって…」 「そんな…! きっと彼は今、ショックを受けてるだけさ。 時が経てば落ち着くさ。 なんなら俺が話をつけてやるから、安心しなよ。 こんな時こそあんたがしっかりして彼を助けてやらなきゃならないんじゃないか? もうそんなに泣くのはやめな。 絵は残念だったけど、画家になるチャンスは明日だけじゃないんだ。 二人共もっと楽観的にならなきゃな…! さ…顔でも洗って来なよ。 あんたがいないとお店の客達も心配するぜ!」 「ジュリアンさん…」 ジュリアンの言葉に、ライラは頷き、無理に笑顔を作った。
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