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林家の嫁の友人
林家はここ韓国では10番目に多い姓である。その林家の中には、昔から地主をしていたり、ご先祖様の中には朝廷の高い官位をいただいて者も多く、由緒ある家柄である。うちはその本家にあたるのだが、毎年行われる法事に親戚があつまり料理を振るまったり、本家の長男の嫁には器量をとわれる。
ーそれなのに長男の嫁の質によっては林家の存続にも関わってくるのに、家が傾いたらどうするんだ。
夫も舅も二人ニコニコしながら喜んでいる。すでに私のしらないところで話しは進んでいたようだ。
何も考えていないのかと、ふつふつと怒りが沸きあがる。
それにうちの息子なら、こんな気の強そうなちんちくりんとなんかと結婚するより、もっとよい女性がいるはずだ。
そんな私の思いに賛同するかのように、横で高校生の娘たちが声をあげた。
「お兄ちゃんお見合いするの」
「えーなにこんな人と、嫌だ。お兄ちゃんかわいそう」
娘2人がお見合い写真をみて反対する。
そうだろうそうだろう。
やっぱり私の娘たちだ。男たちは何もわかってない。
こんな嫁が入ってきて、うちの家門が倒れたらどうするんだ。
お見合いときいてピーンときた私は、友人の順子が経営している店に行った。順子は、朝市がでる横の商店街で親の代から韓服(チョゴリ)のお店をしている。
「この子いい子よ。看護士さんしているし、生活力あるしね。日本に嫁にいったあんたの娘もいいって推してたわよ」
と順子はのんきにお茶をすすりながら答えた。
お見合いを持ってきた犯人は順子だった。その上、娘もグルだったのか。
娘というのは日本に嫁にいったのは前妻の子、美代子だ。
美代子は高校卒業後、日本に留学し日本人と結婚した。その後はほとんど実家に帰ってくることもない。
私が継母だとしても虐めたりしてないのに、帰ってこないなんて……。
ホント気に食わない。
順子は韓服のお店をしながらお見合いの紹介をしている。
韓服のお店をメインに、空いた時間にお見合いの紹介をしているのだ。
土曜日、日曜日ごとにどんどんお見合いの場をもうけ、結婚が成立したらお互いから手数料として30万円づつもらい、結婚の時に必要な着物を自分の店でつくったり、貸し出している。
お客さんを獲得するためもあって、結婚紹介も熱心だ。
結構、順子は凄腕だ。
私はこの間も、どっかのボンボンに50回お見合させて結婚にこじつけたと楽しそうに話していたことを思い出していた。
「手数料ももらったし、韓服必要ならよろしくね」
ちゃっかりしている順子に苛立ちを感じながら、順子の店を出た。
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