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 ひどい霧だった。  ヘッドライトに照らされて電話ボックスがひとつ浮かび上がった。  中では青年が受話器を握りしめて立ち尽くしていた。 「まあ、あの男の子、どうしたのかしら」 妻のエマが心配そうに呟く 「それはまあよくあるやつだろう」 「失恋とか」 「かもしれないね」 「あなた、様子を見てきてよ。心配だわ」 僕は肩をすくめてみせてから、車のドアを開けた。
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