愛の証明

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部屋の中央に置かれた大きなテーブルに、二人ずつ向き合うようにして座っている。テーブルの上にはコンソメ味のスナック菓子が置かれている。 「そういや最近、このスナック菓子買いだめしてるんだけど、減りが異常に速いんだよな」 俺は、スナック菓子を食べていると、ふと思い出したので言った。 「何それ?食べ過ぎなんじゃねえの?」 俺の斜め前に座っている原田がスナック菓子を口に運びながら言う。 「違うんだよ、全然食った記憶は無いのに、気づいたら残り一つとかになってるんだよ」 俺は自身に起こっている不思議な現象をなんとか理解してもらおうと訴える。 「ふーん、不思議なことがあるもんだな」 しかし、原田は興味がなさそうにそう言った。 「それにしても、やっぱりコンソメ味が最強なんだよな。王道だし、嫌いな人なんて絶対いない。だからパーティーの席には絶対に持ってこいだ」 原田はすぐに話を変えてそう言った。ちなみに原田は、入学式に出会って以来ずっとつるんでいる俺の親友だ。非常に社交的なやつで、人が集まった場では率先して話を回している。 「いや、最強を言うならばそれはうすしおだよ。どれだけ食べても飽きない、一人でも大勢でも楽しめる」 俺もスナック菓子を口に運びながらすかさず反論する。 「うすしおは普通すぎるんだって、あれはちょっと飽きるな」 「それは違う、お前が純粋な塩の味を分かってねえんだよ」 「なんだと!?」 このくだらない論争はヒートアップしていく。 「黒川先輩はどう思います!?」 原田は突然隣に座っている、つまり俺の前に座っている黒川先輩に話を振った。俺と原田は黙って黒川先輩を見つめる。 「えっ?そうだなー、私は…のりしおかな」 黒川先輩は少し意地悪く微笑みながら言う。 「まさかここで第三勢力を出してくるとは…」 原田はたじろぎながら言う。俺も流石先輩だと思いながら苦笑いする。 「とにかくこんな不毛な争いなんかしててもしょうがないよ。好みなんて皆違うんだから。でも一つ言えるのは、こんな争いが起きるってことは全部美味しいってことだよ」 黒川先輩はスナック菓子を口に運び、今度はにっかりと笑いながら言った。 「確かに、間違い無いですね」 「上手くまとめられちゃいましたねー」 俺と原田もつられて笑いながら言う。
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