愛の証明

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「おい、遅いぞ!」 大友先輩の大きな声が耳に響く。時間には間に合っているが俺が最後だったようだ。 「一番近いのに何をチンタラしてるんだ」 「良いじゃないですか間に合ってるんですから」 俺はこんな気分なのに大友先輩の大きい声はキツいなと思いながら言う。 「ま、全然いいんだけど」 大友先輩はニンマリと笑いながら言う。俺も分かっていたが本当に怒ってはいない。悪く言うと人を困らせるのが趣味なのだ。 「もう入れるみたいだから入るぞ」 大友先輩はそう言って店内に入っていった。予定時刻より早いがもう入れるらしい。そうなると本当に皆を待たせていたことになり少し罰が悪くなった。 俺も続いて入ろうとする。その時にふと声をかけられた。 「おーい、春野くん。なんだか顔色が少し悪いけど大丈夫かい?」 黒川先輩だった。俺の気持ちのモヤモヤした部分は一瞬で吹き飛んでいった。 「いえ、大丈夫です!ありがとうございます。心配してもらっちゃって」 「そう?ならいいんだけど。てか、肩でも凝ってるの?」 「えっ、なんでですか?」 「いや、だって押さえてるから」 黒川先輩に言われて、俺は初めて自分が肩に手を当てているのに気づいた。 「うわ、ほんとだ。無意識でした」 「ちょっと、大丈夫ー?つかれてるんじゃないの?それも二つの意味で!」 「えっ?」 「tiredの疲れてると、お化けに憑かれてるってことだよー」 黒川先輩は得意げに笑いながら言う。 「そう、かもしれないです」 俺は確かにその通りだと思ってそう言う。 「ちょっと、受け入れてないで笑ってよ!せっかく上手いこと言ったのにー」 黒川先輩は頬を膨らませながらそう言う。 「ははっ、すみません」 俺は何とか笑いながら言う。 「まあ、困ったことがあったら言いなよ」 そう言って黒川先輩は優しく微笑みかけてくれた。俺は天にも登る気持ちだった。 「じゃ、先入るよ」 黒川先輩はそう言って先に店内に入っていった。俺もすぐ後に続いて入ろうとした。すると、今度は声をかけられながら右腕に抱きつかれた。 「ちょっと、先輩!大丈夫ですか!?顔色悪いですよ!?」 小林だ。同じように心配してくれるのはありがたいが先程の黒川先輩のを塗り替えられてしまったようで少し腹が立った。 「大丈夫だよ」 小林には悪いが冷たい口調で言って、右腕の小林を振り払って店内に入った。 「ちょっと先輩!なんでそんなに不機嫌なんですか?待ってくださいよー」 小林が後ろからついてくる。
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