余所者にはクエン酸

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 クエン酸なんてもううんざりだ。  そう思って村をでた。なにをしたい、とか、なにになりたい、といった目的なんてものはなかった。ただ村をでたかった。そしてクエン酸から離れたかった。  けれどすぐに現実を思い知らされた。散々辛酸をなめさせられた。村を飛び出した俺の人生はクエン酸のように酸っぱいものだった。  俺は社会というものを甘くみていたんだ。村にいた頃の俺は、今思うと、クエン酸のように甘い考えをしていた。  けれど、それでも俺は逃げようとしなかった。努力して自分の居場所を作った。  苦渋だって人の何杯も味わってきた。クエン酸のような苦さも、渋さも。    あ、ごめん。俺、極度の味覚音痴だからクエン酸の味、っていまいちわからないんだよね。 
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