Candy & Drop

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Candy & Drop

 北条秋夜(ほうじょう しゅうや)私立四天学園(しりつしてんがくえん)高等部に通う三年生だ。薄茶色の癖毛のミディアムヘアをゆるく後ろに流したソフトリーゼントが、モデル顔負けの美麗な顔立ちによくよく映えている。長身でスレンダーな体つきも相まって、万人が見惚れるような男前だ。 ――が、そんな出で立ちに似合わずというべきか、腕っ節が達つことでも有名で、故に学園の不良連中からも慕われ、”(あたま)”として崇められていた。  そんな秋夜には、ライバルといわれている男がいる。近隣校の私立桃陵学園(しりつとうりょうがくえん)で頭を張っている番格で、名を源真夏(みなもと まなつ)という。  濡れた羽を思わせる艶やかな黒髪に似合いの黒曜石のような瞳には、一見しただけで敵わないと思わせるような眼力がある。高身長の秋夜を若干上回るような均整の取れた体格からして立派な風貌で、顔立ちもこれまた秋夜に負けず劣らずの端正さがより一層雰囲気を引き立てているといった具合の男前だ。そして、彼もまた秋夜と違わず腕が達ち、同じく不良連中に崇められてはいるが弱い者苛めや汚いことは一切しないという――いわば男の中の男ともいうべき筋の通ったことで名を馳せているような器である。故に”斉天大聖(せいてんたいせい)”という通り名で呼ばれ、彼の通う桃陵学園のみならず地区内外の広範囲でも一目置かれるような存在だった。
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