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(……っそ! なんだって俺があんな夢見なきゃなんねんだ……って!)
悶々とする思いに歯軋りしたい気分だった。
「……ったくよー! 今まではマス掻く時だって女のグラビアかエロビだったってのに……!」
それこそ無意識のまま、吐き捨てるようにそう口走った秋夜に、仲間たちが興味津々で話題に乗っかってくる。
「なになに? マスベがどうしたって!?」
「秋夜、いいエロ本でもゲットしたとか?」
「うっそ! マジ!? それ、俺にも貸してくれよ!」
しまったと思いつつも、秋夜はタジタジとした調子でソッポを向きながらシラを切った。
「……ッ……! エロ本の話なんかしてねーよ」
「なーんだ。違えのかよ」
残念とばかりに皆でクイと肩をすくめる。昇降口のざわめきのお陰で助かったとばかりに秋夜はホッと胸を撫で下ろしていた。――と、その時だ。
「あれえ? おっかしいな……今日は斉天大聖様がいねえじゃん」
「あー、ほんとだ!」
仲間たちの言葉に校門に目をやれば、そこには当然あるはずの真夏の姿がなかった。
◇ ◇ ◇
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