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四天学園と桃陵学園――双校は古くから犬猿の仲とされていて、不良連中が通うとしても名高いことで知られていた。街中で顔を合わせれば一触即発の間柄、隣校であるが故に対抗心も半端ないというわけだ。どちらも自分たちが一番だと自負していて、相手校をねじ伏せたいと常々息巻いている連中揃いである。そんな願望に決着をつける為、双校の間では年度が変わる新学期を迎えると共に、それぞれの頭同士で一戦を交え、雌雄を決するというのが決め事となっていた。
最上級生から新入生までひっくるめて、腕に自信のあるやんちゃボウズたちが結集する一大集会である。場所は埠頭の廃墟化した倉庫街で行われ、”番格対決”と名付けられたそれは、今や各々にとっての誇りを賭けた伝統行事となっていた。
ところがどういうわけか、この二年の間でそれらはすっかりと息を潜めてしまった。原因は、秋夜と真夏らの二代前の番格たちが意気投合し、これからは四天と桃陵の諍いをやめて手を取り合っていこうと宣言したからである。彼らも元々はこの伝統行事を率いていた側の頭たちであったが、紆余曲折を経て互いを尊重するようになったらしい。
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