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「源……真夏。真夏……真夏……マナ……ッ」
声に出してその名を口にすれば、胸を締め付ける苦しさが痛みに変わるほどだった。
「……っそ! 俺にこんな思いさせやがって……! ちゃんと……責任取れってのよ……!」
ギュッと瞳を閉じて、両の腕で自らの肩を抱き締めた。
いつの日か――この肩を彼の逞しい腕が抱き包むことがあるだろうか。触れるだけのキスなんかじゃなく、息もできないくらいの強く激しい口付けに閉じ込められる時がくるだろうか。
気付いてしまったこの想いを――もうごまかすことなんかできない。もう知らない振りなんかできない。張り裂けんばかりの恋の苦しさと闘いながら、秋夜は一人、眠りへと落ちていった。
◇ ◇ ◇
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