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「お前の番号――」
何番だ? というふうにクイと首を傾げる。そんな仕草のひとつひとつが秋夜の胸をドキドキと掻き鳴らす。
「……っと、俺ン番号は――」
秋夜が言う側から器用な仕草でそれを打ち込む。その指先は男らしく骨太感のあるものの、長くて綺麗な形をしている。今までは特に気に止めて見たことなどなかったが、美しいその指先に視線は釘付けにさせられてしまう。思わず咳き込みそうになるほど心拍数の速くなったその時、秋夜のスマートフォンに着信が届いた。
「それ、俺の番号だ。ちゃんと登録しとけよ?」
ニッと白い歯を見せて笑ったその表情が爽やか過ぎて、またもや咳き込みそうにさせられてしまった。
それからどのくらい歩いただろうか。あまりにもドキドキとしすぎたせいでか、気付けば既に四天学園の校門の前に着いていた。
「たまに架けさせてもらう。お前も……架けてくれたら嬉しい」
真夏はそう言うと、「そんじゃ、また放課後にな!」手を振りながら駆け出して行った。その後ろ姿を見送ったままの状態でぼうっと立ち尽くす秋夜の背を、登校してきた仲間たちがポンと叩いた。
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