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「秋夜、はよ! もしか今のって斉天大聖じゃなかった?」
「なになに? まさか朝の迎えも始めたってか!?」
驚き顔の仲間に高鳴る気持ちを悟られまいと、秋夜は軽い咳払いと共に肩をすくめてみせた。
「……ったく……律儀過ぎなんだよ、あいつ」
ぶっきらぼうを装う秋夜の頭上に、夏のキラキラとした日射しが降り注いでいた。あとひと月もすれば気温は更に上昇し文字通りの真夏を迎える。その頃にはもうひとつの”真夏”との間にも熱い季節が訪れるだろうか――そんな想像を胸に、秋夜は逸る気持ちを抱き締めながら昇降口をくぐったのだった。
その夜のことだ。ベッドに寝転がり、相変わらずに真夏のことを思い巡らせていた時、スマートフォンの画面に登録したばかりの”源真夏”の文字が映し出されて、秋夜は慌てて飛び起きた。
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