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拳一つでこのザマだ。やはり秋夜には頭と崇められるだけの腕も度量も備わっているのは認めざるを得ない事実なのだろう。だが、顔立ちが綺麗すぎることや、細身で厳ついタイプでもないことから、川東の連中にとっては素直にそれを認めたくはないという思いが強いらしい。加えて、見るからに女にモテそうな秋夜に対しての嫉妬もあるのだろう。男前で喧嘩も強いとされている彼のことが目障りで仕方ないというのが本音だったようだ。
「……ッの野郎! ふざけやがって!」
「フクロだ、フクロ! 殺っちまえ!」
全員が一斉に押し寄せて、まさに袋叩きにされ掛かった瞬間だった。
「おい、てめえら何してやがる!」
地鳴りのするような低い怒号で、一同はピタリと動きをとめた。
見れば、そこには桃陵学園の源真夏が立っていた。”斉天大聖”といわれた張本人だ。
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