159人が本棚に入れています
本棚に追加
秋夜とは正反対の濡羽色の黒髪が艶やかで、顔立ちこそ男前ではあるが、体格はガッシリとしていて風貌も備わっている。同じ不良の頭でも、彼のような男になら腹を見せるもやぶさかでない、誰もがそんなふうに思っているようだった。
その真夏がみるも不機嫌に眉をしかめ、鋭い視線の中には怒りの焔が灯っているかのようで、眼力だけで身震いがしそうなオーラをまといながら睨みを据えている。
「やべッ! 斉天大聖だ……!」
「クソッ……何でヤツが……」
「撤収だ、撤収! ズラかんぞ!」
その姿を見るなり、秋夜を取り囲んでいた川東の一団は瞬時に蒼白となり、蜘蛛の子を散らすようにしてその場から引き上げていった。
◇ ◇ ◇
最初のコメントを投稿しよう!