「嘘つき王子にケチャップライスをかませ」

1/2
前へ
/2ページ
次へ
 朝4時に目が覚めた。  肌に感じる空気は冷たい。  静かで外からわずかに新聞配達のバイク音が響いてくる。  寝ている家族を起こさないようにゆっくりと階段を降りて、洗面所へと向かう。  支度と気分を整えてからいざキッチンへ。  エプロンをつけて心構えは万全。  さあ、今日こそは。  玉ねぎをみじん切りにして、ベーコンも刻む。  ケチャップに隠し味のウスターソースとデミソースを混ぜ合わせる。  溶いた卵には少しだけクリームを。  フライパンにバターを落として、ベーコンを炒める。玉ねぎも加えて飴色まで炒める。  塩と胡椒をふって、下味を整えながらご飯を加えてよくほぐす。  ご飯がぱらりとしてきたので特製ケチャップソースを加えて、全体的にソースが馴染んで来たらパセリを加えて、サッと混ぜる。  一度お皿に移してから、洗ったフライパンに油を引いて卵を投入。  菜箸でかき混ぜながら半熟状にしていく。  この瞬間がすごく緊張する所。  ケチャップライスを卵の絨毯に寝かせて、手首のスナップを上手くつかいながら、卵の絨毯をケチャップライスにかぶせる。 「……よしっ」  半熟状の卵で綺麗にくるまれたケチャップライス。  漂うバターの香りが食欲をそそる。  完璧。これで完璧だ。パーフェクト。文句のつけようない。  弾む心を抑えつけながらお弁当箱の準備をすることにした。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加