第2章

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2人がドラゴンの元へと辿り着くと、大地がブルブルと震えた。ドラゴンが、1歩1歩ハルカとヒナノに向かって歩み出し、その足音と振動での震えだ。なんと巨大な化け物だろうか。 「このドラゴンは…(きょう)(りゅう)の類いだな」 「強竜?強いドラゴンってことだよね。まあ確かに、これだけ巨大だったら強いよね…」 ヒナノが不安そうだが、ハルカは表情を変えずにドラゴンの強さを見極めている。 「…強そうではあるが、俺達が(かな)わない相手じゃない。いくぞ、ヒナノ!」 「うっ、うん!!」 ヒナノが返事するが早いか、ハルカは抜剣すると剣を横になぎ払った。一瞬、ドラゴンが怯んだその時、ヒナノが炎の上級魔法を放つ。 ごうごうと燃え盛る炎の中、ドラゴンが呻いている。辺りの草原の草が焼け焦げ、辺りに煙が立ちこめる。その中にハルカは臆することなく飛び込み、ドラゴンの懐に入り込むと何度も剣で斬りつける。 「グォォォォ……!!!」 「くそッ…」 「ハルカっ!」 ドラゴンがハルカに噛み付いた。瞬間、ヒナノがハルカに回復魔法をかける。ヒナノは攻撃魔法が専門ではあるが、少々の回復魔法なども習得していた。ハルカの大きな傷が塞がり、更にヒナノはハルカの物理攻撃力と物理防御力を上昇させる呪文を唱えてやる。 この2人のコンビネーションは見ものだ。何を隠そう、2年間共に冒険してきた親友である。戦いでヘマなどしない。 暫く戦いは長引いたが、やがてドラゴンの討伐に成功した。2人は疲れ切ってこそいたが、お互いの絆の強さというものを身にしみて感じ、幸福感に包まれた。 「…倒せたね。さっすがハルカ!」 「いや、お前が頑張ってくれたからだ、ヒナノ。じゃあ、お互い体力が消耗しててお前は魔力も切れかけだし…ギルドに戻るか」 「うん、休ませてもらおうっ」 そう言って2人は、とある魔石を取り出した。それも、ギルドに瞬間移動出来る便利で希少価値のある虹色の魔石。ツルツルの表面には、宝石のような神秘的な光沢がある。 魔石から魔力が放たれ、2人は光の中へと消えた。
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