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それから数日間、ハルカは姿を見せなかった。ヒナノはハルカに会えない寂しさと、いきなり消えてしまった事への怒りで感情を踏みにじられた気分だった。
「何なの、ハルカ…」
1人で冒険するのは苦だ。試しに、他の冒険者と一緒に行動してみたが、楽しくもなんともない。依存するくらいに、ヒナノはハルカの事が好きだったのだ。
「あれ…あの女の子、双子の冒険者のうちの1人だよね。もう1人はどこ行ったんだろ?」
「ホントだ、一緒に居ないなんて珍しいねー」
「なにかあったのかな~」
そんな言葉が、あちらこちらから聞こえてくる。ヒナノは涙が出そうになった。
「ハルカ…会いたいよぉ、ハルカ…」
「ヒナノっ!!」
後ろに懐かしい気配を感じて、ヒナノが振り向くと…そこには、急いで走って来たらしいハルカが居た。
「ハ、ハルカ…!?もうっ、どこで何してたの!?ねえハルカ…」
「ごめん、ヒナノ!!」
ハルカは、数日前にしたのと同じように、大きく頭を下げた。ヒナノが息を呑む。
「俺…冒険、やめる」
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