せめてもう一度だけ

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そこには・・・ 何も見えなかった。 少なくとも私には。 いや、かすかに空間がゆらいでいる?気のせい? 「あ、あの」 もう一度声をかけると男性は、はっと我に返った様子だ。 「ああ、申し訳ありません・・ちょっと驚いてしまいました」 「あなたの呼びかけに応えてここにいらっしゃると言うことは、 あなたの子供さんだった魂の姿なのでしょうね・・・。 ご覧になってください」 撮った画像が見えるようカメラの向きをかえてくれた。 覗き込めば、子供の姿があるのだろうか。 なぜ男性はあんなに驚いたのだろう。 気づけば手に汗をかいていた。 ぎゅっとハンカチを握りしめ、覚悟を決めてカメラを覗き込む。 そこには
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