せめてもう一度だけ

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「そんなこと! 私は自分の悲しみに負けないようにすることで精一杯で、 あなたに何もしてあげられなかった。 ずっとずっとそれを謝りたかったの」 しゃくりあげながら、なんとか気持ちを言葉にしていく。 「あなたにもっともっと幸せをあげたかった。喜びをあげたかったのに、 なにもできないでっ」 「違うよ、ママ。 僕はね、元気な子供として生まれた人生なら何百回も生きてきた。 でもどうしても病気の苦しみ、病気で苦しむ子の気持ちを知りたかったんだ。 知らないと救えないから知る必要があったんだよ。」 「僕は知ってた。僕を産むことでママがとても大きな悲しみを 背負うこと。パパが苦しむことも。 でもママがよかったんだ。パパとママの子供がよかったんだよ。 ・・・こんなに悲しませるのをわかってママを選んだ僕を嫌いになる・・?」 目の前の天使が(見た目は男性のままだが)、不安そうに聞いた。 「そんなことあるわけないじゃない。私はあなたを産んでよかった! あなたに会えてほんとうによかった!」
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