6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ママ、ありがとう。」
天使がにっこりと笑う。
「ああ、この子の精神が限界に近いから、急ぐね。
ママ、僕はね、だから幸せだったよ。
知りたかったことを知ることができたから。
それとママがずっと優しかったから。
ママを悲しませてるのはほんとうに申し訳なかったけど、
僕はずっとずっと幸せだった。」
「頭が痛いとき、ママが手のひらをずっと痛いとこに当ててくれてたでしょ。あれほんとに気持ちいいんだよ。
気持ちいいなあってとても嬉しかった。」
「少しでも食べれる時は、プリン買ってくれたよね。美味しかったなあ。」
「生きてるってやっぱり楽しいよ。食べて感じて、喜んだり、
愛したり、時には怒ったり。悲しみも。
全部全部たいせつな宝物。
どんな感覚も気持ちも大切にして」
「怒りや悲しみも深く深く味わったら、
きっともういいかなって思えるから。」
「そしたらまた笑って」
「もう時間だ。ここから出なくちゃ。
ママ、最後にこれだけ。
ありが・・・」
「待って!」
私はただただ泣きながら、私の子供だった天使の話を聞いていることしか
できなかった。
最初のコメントを投稿しよう!