喫茶 ゆうげん

せめてもう一度だけ

いいえ、そんなはずはない！

男性はどんな場合でも魂の重さは人間に推し量ることはできないと言った。
もちろん私にもそんな力はない。

でも、あの子はほんとうに澄み切った心を持っていたのだ。

私が見ているものより、はるかに大切なものを見つめて、
暖かい言葉を紡ぎ、笑ってくれたのだ。
死のまぎわでさえも。

「あなたが、子供さんの魂がここに来られないはずがないと
強く信じれるのなら、それでよくはないですか？」

男性は私が口を開くのを制するように、言葉を発した。

確かにそうかもしれない。
さっきも思った。これは私の自己満足でしかないのかもしれない、と。