現代むかし話1 ヘンゼルとグレーテル

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煙突から煙が上る、古ぼけた作りの小さな、しかしかわいらしくも見える木造の家でした。 ヘンゼルがドアをノックします。 「おやお客さんかい。どうぞおあがりくださいな。」 中に通されると、そこはすべて手作りに見える木製の家具に、これも手縫いの花模様の刺繍が入ったテーブルクロスやカーテンが驕奢(きょうしゃ)すぎない女性的な統一感のある趣味を醸し出した空間で、主である、オールドスタイルの服にフリルの白いエプロンをまとい、眼鏡の奥から優しそうな瞳がのぞく老婆が迎えました。 手作りのお菓子を近所の人に送ってくれるという評判どおりの、落ち着いた優しげな雰囲気を醸し出した人物です。 「こんにちはおばあさん。この前お菓子を送っていただいたヘンゼルです。」 「妹のグレーテルです。今日はそのお礼を言いに、お兄ちゃんと。」
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