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戦国モバイル
俺は突如戦国時代にタイムスリップしていた。
「やべー!どうしよ!?
取り合えず武将で一番新し物好きな、
信長とこ行けば大丈夫かな?」
血生臭い合戦場付近でオロオロしていると、
黄色い木瓜紋の武士達が現れた。
「その方も未来から来たな?
殿が御呼びじゃ!」
「えっ?そうだけど展開早っ!?」
「ニヤニヤ」
織田家家臣は俺の姿を見ても一切驚かず、
奇妙な笑みを浮かべて、
馴れた雰囲気で俺を安土城まで連れてくれた。
「上様のおな~り~」
現れた信長は肖像画通りで、
鋭い目付きで俺を睨み付けた。
「その方、スマホは何Gじゃ?」
「えっえっ!?4Gです…」
「たわけ!この儂に謁見したくば、
最低でも5Gのスマホを持って参れ!」
信長は短気とは聞いていたが、
怒る理由が予想外過ぎた。
「何で信長がそんな事知ってるの!?」
「うつけ!未来の者は必ず、
この信長の元に来るから見飽きたわ!
貴様の古臭いスマホの設定画面を開いてみよ」
「戦国武将に古臭いて…あぁ!?」
なんと!安土は『azuti_rakuitirakuza』と言う、
フリーWi-Fiが通っていた!
「そんな!幾ら信長が新し物好きだからと言っても、
オーバーテクノロジー過ぎる!
織田家や火縄銃のサイトまで有るなんて!?」
「はっはっは!未来人どもに、
発電所からルーターやサイトも作らせておるわ!」
すると信長はドヤりながら、
金箔を塗った浅井長政頭蓋骨のスマホスタンドに、
画面が四つ折りの見た事無いスマホを置いた。
「儂のスマホは10Gじゃが、
これも古くなって買い換え時じゃ!
お主令和二年始め辺りから来た様じゃが、
ゴジラVSコングのメカゴジラや、
アニメ版ガメラはな…」
「ぎゃー!まさか戦国時代に来て、
令和のネタバレ食らうだなんて!?」
「よっ!上様!未来人にマウント取れる大名は、
信長様ただ御一人!」
羽柴秀吉は信長に胡麻すり続けるも、
明智光秀は冷や汗をかいていた。
「まずい!このまま新し物好きな殿を、
未来人どもと絡ませ続けては、
日の本の歴史が…」
そう、光秀が信長を裏切った理由は、
いじめられたからとか野心とかでなく、
時代設定を守るためだった。
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