いつもの朝

2/4
前へ
/6ページ
次へ
寛太が到着すると、全員が揃っていた。 「じゃあ、出発しまーす」 六年生の阿波野が声を掛け、学校に向かって歩き出す。 一年生の寛太は一番後ろに並んでみんなについていく。 風がまだ冷たい河川敷の堤防。 「なにか聞こえる」 パンを食べ終えた寛太は列を離れ、堤防を駆け下り草むらの中へ。 聞こえる音を頼りに草むらを進んでいくと、 「可愛いー」 少し開けた場所で、子猫がミャーミャー鳴いていた。 子猫の前には深めの紙皿が置いてあり、 「僕と同じだねー」 寛太が持っている牛乳パックの空が転がっていた。 「これ美味しいよね」 紙皿の隅に残っていた牛乳を、皿を傾け子猫の口元へ。 子猫はミャーと一声鳴いて、紙皿をペロペロと舐めた。 飲み終わった子猫の頭を撫でていると、 「あれ何だろう?」 子猫の後ろの草むらの中、ビニールシートで出来たテントのようなものを見つけた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加